ソーシャルワイヤー(3929)2027年3月期 第1四半期決算説明会

ソーシャルワイヤー株式会社(東証グロース:3929)の2027年3月期 第1四半期決算について、代表取締役社長 矢田峰之よりご説明します。決算の概要、サービス別の営業進捗、中期成長戦略の進捗をかいつまんでお伝えし、最後に個人投資家の皆様からのご質問にお答えします。
第1四半期ハイライト:収益構造の転換が本格化

第1四半期の主な実績は次のとおりです。
- 売上高:9億7,100万円(前年同期比 +39%)
- 営業利益:3,300万円(前年同期比 +96%、およそ2倍)
- 営業利益率:3.5%(前年同期から +1.1ポイント)
営業利益は昨年度の第1四半期が非常に低かったこともあり、ほぼ倍増となりました。昨年度の第1四半期と比べると収益構造の転換が本格化しており、インフルエンサーPRが牽引するとともに、同領域でのM&Aもこの四半期中に実行できました。
決算トピックス:インフルエンサーPRが売上の50%に

売上高は39%増となり、売上構成比ではインフルエンサーPRがおよそ 50% を占めるまでになりました。残りはリリース配信(23%)とメディアリスニング(27%)です。インフルエンサーPRの規模が大きくなってきたため、今回からクリッピングと反社チェック(RISK EYES)を「メディアリスニング」として一つにまとめて表示しています。
| 項目 | 2027年3月期 1Q | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 971百万円 | +39% |
| 営業利益 | 33百万円 | +96% |
| 経常利益 | 18百万円 | ▲25% |
| 当期純利益 | 21百万円 | +1% |
経常利益は前年同期を下回っていますが、これは第1四半期の終盤である6月に SEIRYO をM&Aした際の仲介手数料など、一過性の費用を計上したためです。部分的には減益に見えますが、本質的には増収増益の基調で進行しています。
営業利益の増減要因

営業利益は前年同期比で +1,600万円(+96%)となりました。昨年の第1四半期には iHack がまだグループに存在していなかったため、M&Aの影響が色濃く出た増減グラフになっています。
- 売上総利益:+8,600万円。大部分はインフルエンサーPR事業のオーガニック成長と、2025年9月にM&Aした iHack の効果によるものです。2026年6月にM&Aした SEIRYO は6月単月のみの寄与です。
- 費用の増加:人件費(+2,300万円)、地代家賃、のれん償却費(+1,800万円)の3点が主な増加要因で、いずれも主にM&Aした会社に関連するものです。
なお、構造改革の一環として今月末(8月末)にオフィス移転を予定しており、オフィス関連費用は今年度中に大幅に減っていく見込みです。
四半期進捗:成長トレンドは継続

四半期ベースの売上高は、第1四半期で 630 → 700 → 971百万円と推移しています。例年は第3四半期が大きく伸び、第4四半期・第1四半期は下がる傾向にありますが、今回は第3四半期・第4四半期・第1四半期がほぼ横ばいで推移しました。保守的に見ても横ばいで踏みとどまれたことは良かったと考えており、第2四半期・第3四半期と下半期に向けて増えていくトレンドを作れる手応えを感じています。
サービス別の売上構成比は、昨年度のM&A以降インフルエンサーPRが50%前後まで一気に引き上がりました。6月にM&Aした SEIRYO がフル連結となる第2四半期からは、50%を超えて 60%弱 まで高まっていくと想定しています。
通期計画に対する進捗

| 項目 | 通期予想 | 1Q実績 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,412百万円 | 971百万円 | 22% |
| 営業利益 | 425百万円 | 33百万円 | 8% |
| 経常利益 | 401百万円 | 18百万円 | 5% |
| 当期純利益 | 327百万円 | 21百万円 | 6% |
売上高の進捗率は保守的に見て22%と概ね想定どおりですが、段階利益の進捗は低調であり、その点は率直に受け止めています。一方で、固定費削減など利益にインパクトのある施策の効果は第2四半期終盤〜下半期から発現する見込みです。また、インフルエンサー・広告事業は年末から年度末にかけてストレッチする季節性があり、それを織り込んで計画しているため、通期業績予想はかなり高い目標ではあるものの据え置いています。
M&A:株式会社SEIRYOを子会社化

中期ターゲット実現のための施策として位置づけていたインフルエンサー事業のM&Aは、2025年9月の iHack に続き、2026年6月に 株式会社SEIRYO を子会社化しました。SEIRYO は TikTok・ショート動画領域の成果報酬型広告運用に強みを持つ会社で、6月度より連結を開始し、第2四半期から四半期を通じて業績に寄与します。
当社の当初の目的は「インフルエンサーを活用した成果報酬型モデル」のケイパビリティを取得することでしたが、SEIRYO は TikTok・縦型動画に非常に強く、業務の7〜8割がそこに集中しているため、結果として TikTokの運用ナレッジ も獲得できました。この運用ナレッジは、従来のPR・ブランディング系のお客様にも横展開できると考えています。
収益構造改革の進捗

利益率を上げるため、固定的なコスト構造を改善する施策を半年〜1年近く前から準備してきました。効果は今年度の第2四半期終盤ないし下期からフルに発現する見込みで、準備は着々と進捗しています。
施策① 本社・グループ拠点の統合移転 年換算削減効果は 約1.2億円、発現時期は2026年9月からです。移転に伴う重複家賃を含めても大きな費用は発生せず、原状回復費用も過去に償却済みの水準より少なく実施できる見込みで、部分的な戻し入れも出る想定です。移転は当社計画より1カ月ほど前倒しで実行できています。
施策② AI活用・組織最適化 AIを活用した業務効率化と人員のアロケーション最適化に取り組んでおり、年換算削減効果は 0.7億円以上、発現時期は2026年7月からです。社内では「1人当たり売上総利益」を指標としており、パート・アルバイトを含む頭数ベースで 663万円(2024/03期)→ 829万円(2027/03期1Q・年換算)と、約25% 向上しました。人件費・労務費の比率が高い会社ですが、この生産性の向上も順調に進行しています。
財務サマリー

3月末からの3カ月間で大きな変化はありませんが、SEIRYO の取得資金として借入を一部増やし、のれんが増加しました。有利子負債は836百万円から1,178百万円に増加した一方、現金及び預金は1,305百万円を確保しており、ネット有利子負債は▲126百万円(ネットキャッシュ)を維持、自己資本比率は46%です。
のれん償却費が多いため、営業利益(33百万円)と EBITDA(98百万円、前年同期比 +109%)の差が大きくなってきました。借入の返済原資という観点では EBITDA で見て健全性は高いものの、構造改革の効果を早期に発現させ、営業利益にヒットさせていきたいと考えています。
サービス別:インフルエンサーPR

インフルエンサーPRの売上高は前年同期比 +133%(206 → 482百万円)と、オーガニック成長とM&A効果で高成長を続けています。取引社数は 90社 → 329社 へ大きく増加しました。この増加は M&A した iHack・SEIRYO の顧客というよりも、月額制のマッチングプラットフォーム Find Model Circle の運営によるところが大きく、単価は低いものの1年ほどで着実に利用企業が増え、インフルエンサーPRの裾野となる顧客層を獲得しています。この顧客層は、現在苦戦しているリリース配信の顧客層と親和性が高く、両サービスをつなぐパイプ役になると考えています。インフルエンサーPR事業は売上・利益のみならず、顧客基盤においてもプレゼンスを発揮する構造になってきています。
サービス別:リリース配信

リリース配信(@Press)は現状苦戦しており、売上高は前年同期比 ▲5%(238 → 225百万円)です。営業戦術を、新規獲得をやや抑えながら単価を向上させる方向に切り替えており、配信単価は 41.8千円(前年同期比 +13.8%)と上昇しています。取引社数は 3,254社 → 2,562社に減少しましたが、利益は概ね横ばいで進行しており、戦術転換に伴う一時的なボラティリティと捉えています。顧客単価を上げながらリピーターを増やしていく方針です。
サービス別:メディアリスニング

@クリッピング、Clip Master、RISK EYES を合算したメディアリスニングの売上高は前年同期比 +3%(255 → 263百万円)です。反社チェック用の RISK EYES は、6月末の MRR が 31.8百万円(前年同期比 +11.4%)と着実に顧客社数を伸ばしており、解約率は0.5%以下で推移しています。
一方、クリッピングは過去からほぼ横ばいのレガシーなサービスですが、AIによる生産性向上の主な対象部門です。競合他社にはないサービスであり大手のお客様との接点にもなるため、反社チェックで顧客をストックしつつ、AIトークンなどのコストを差し引いても利益率が上がる目処が見えてきました。トップラインの成長は控えめでも、利益率を着実に上げていくセクションにしていきます。
中期ターゲットと成長戦略

一昨年度に売上高27億円規模だった当社は、3年間で 売上高50億円・営業利益8億円(2028年3月期)に到達するという中期ターゲットを定めました。1年目の昨年度は35億円まで大きく伸び、今年度は44億円の計画で、ターゲットに向けたラインに乗せていっている状態です。インフルエンサーPRが成長を牽引する構造については、繰り返しになるため説明を省略します。
成長ドライバーの強化戦略

インフルエンサーPRをどう伸ばしていくかを示した図です。元よりオーガニックで伸ばしてきた領域や iHack のM&Aは、お客様の 認知・ブランディング支援(図のピンクの部分)にあたり、ここを着実に大きくしていきます。iHack の PMI は非常に順調で、Find Model と iHack は概ね一体化して運営しており、オフィス移転で同じ場所で働くことでさらに一体化が進むと考えています。
これに加えて、より直接的な 購買・CV支援(図の緑の部分)は、これまで手札がなかった領域です。今回 SEIRYO のM&Aによりここに参入しました。ピンクと緑は「インフルエンサーを活用する」点では共通ですが、お客様のニーズそのものが異なる似て非なるものです。これまで認知・ブランディング施策ではコンバージョン率を重視するお客様の受注を落としていましたが、緑の領域で獲得できるようになり、クロスセル・アップセルでシナジーを出していく見積もりです。
成長ドライバー強化のためのM&A推進

直近1年強で iHack(2025年9月)、SEIRYO(2026年6月)の2社をM&Aし、インフルエンサーマーケティングの事業基盤を大きくしてきました。引き続き、既存事業と連動できる事業のM&Aをソーシングしており、具体的な検討や実行があれば適時開示していきます。
第1四半期の説明は以上です。
質疑応答
Q. 経常利益が前年比で減少している理由は。一過性のものと考えてよいか。
経常利益は1,800万円で、営業利益との間に営業外費用が大きく出ています。これは主に SEIRYO をM&Aした際の仲介手数料など(2,000万円程度)を計上したもので、一過性と考えていただいて問題ありません。
Q. 固定費削減施策の具体的な内容、金額インパクト、発現時期は。
最も確実性が高いのはオフィス移転です。年間で約1.2億円相当、月次で約1,000万円、四半期で約3,000万円の経費削減インパクトになります。移転は9月からで、9月単月から効果が発現します。8月は重複家賃で家賃が増えますが、退去に伴うコストは過去から償却してきた資産除去債務より少ない金額で移転できるため戻し入れが発生する想定です。また、AI活用・組織最適化により年換算0.7億円以上の削減効果を見込んでおり(2026年7月〜)、これらの固定費削減効果は第2四半期終盤から下期にかけて本格的に発現する見込みです。
Q. SEIRYO の連結効果が通期業績予想に織り込まれておらず精査中とのことだが、状況は。
通期業績予想を開示した5月の段階では SEIRYO はまだM&Aしていなかったため、考慮していません。M&A後まだ1〜2カ月であり、PMIの進行と連結効果を精査したうえで、業績予想に反映するものがあれば適宜開示します。
Q. SEIRYO・iHack との PMI 進捗とシナジー効果の発現、利益貢献はいつからか。
iHack は昨年9月の子会社化からちょうど1年ほどで、PMIは非常に良好に進捗しており、シナジー効果はすでに出ています。規模・リソースが大きくなり、得意不得意を使い分けたチーム再編やアロケーションが有効にできていること、また Find Model で美容案件の引き合いがあっても失注率が高かったものが、iHack にぶつけることで失注しなくなってきたことなど、効果はすでに発現しています。
SEIRYO は購買支援というお客様のニーズが異なる領域であり、同じお客様が認知支援と購買支援の両方を使うアップセル要素は部分的にあるかもしれませんが、現状の見積もりにはあえて入れておらず、インフルエンサーを活用した購買支援という新たな客層として考えています。一方で、お客様の方針転換に応じて認知支援と購買支援の間で予算を入れ替えられることは、当社の手札として大きな武器になります。また、TikTok・縦型ショート動画の強みと ByteDance 社の公認パートナーであることは、認知支援側のお客様にも十分役に立ち、収益貢献できると考えています。SEIRYO は取得後間もないこともあり、速やかにPMIを進めていきます。今後は顧客のクロスセルを進めていきます。
Q. AIによって人員が279人から262人へ17人減少しているが、施策による削減か自然減か。
AIによる業務効率化を踏まえた人員配置の最適化を実施したものです。自然退職も一定程度ありますが、組織最適化によるネガティブ退職は極めて限定的な範囲で進行しています。
現時点では、構造改革としての取り組みは基本的に一段落しており、効果の発現を待つ段階です。
Q. AI活用によるAI利用料・システム費用の増加は。
当社でもサーバーコストや AI のトークン費用は大幅に増加しています。ただ、この増額以上に労務費の削減幅や1人当たり売上総利益の向上で十分に元は取れており、AI費用のコスト増は十分に吸収できています。無闇にトークンを消費するのではなく、生産性指標を意識した運用と天秤にかけた場合、当社では効率化の成果の方が大幅に上回っており、AI活用による生産性向上が実現してきています。
Q. AIの進化によるリリース配信・クリッピングサービスへの影響やリスクは。
リリース配信 には影響が出ています。当社の@Press は、専属のプロの担当者による原稿校正などのサポート体制を優位性・付加価値として長年提供してきました。ただ、この業務は生成AIによる代替カバー率が高い領域であるため、現在、このサポート部分を極力AIで代替するUIへの変更シフトを進めています。経営としては、成長ドライバーをリリース配信からインフルエンサーへシフトしています。
クリッピング については、AIの進化で市場規模が受ける影響はそれほど大きくないと考えています。むしろクリッピングだけでなくその後の送信やレポーティングをAIで業務効率化できるため、収益構造を改革できる良い武器をもらえたと、良い意味で活用しています。
Q. リリース配信の取引社数が大幅に減っている詳細は。
AIの進化への対応も踏まえ、戦術を一点変えました。大安売りをするようなプロモーション的な販売で新規顧客を増やす活動を一気に取りやめたため、安値販売のお客様が大幅に減ったことが取引社数変動の大半です。意図的な低単価顧客の選別が今回の戦術変化であり、結果として社数が減り単価が上がっています。リリース配信は、新規顧客との接点創出と認知拡大を担うエントリー商材として、成長ドライバーであるインフルエンサーPRへの入口・クロスセル基盤に位置づけ、収益性を重視した運営を進めていきます。
Q. 株主優待制度について、金額の増額や今後の継続性の方針は。
数年来止めていた配当・株主優待のうち、今年度から株主優待制度を開始しました(200株以上・6カ月以上の継続保有が対象)。優待総額の業績連動度合いについては、継続的な検討事項としています。今後の継続性については、高い確度で継続していく方針で、変更等が生じる場合には適時開示またはIRサイトを通じて速やかにお知らせします。まずは、利益を伴う形でトップラインの成長率を大きく好転させることを実績として残すことを優先する時期と考えています。
第1四半期は成長率という点で非常に高い数字をマークできました。引き続き第2四半期、そして通期に向けて増収増益を実行していきます。本日は誠にありがとうございました。
本記事は2026年8月14日開催のソーシャルワイヤー株式会社(東証グロース:3929)2027年3月期 第1四半期決算説明会の内容を、配信動画・スライドをもとに編集・要約したものです。数値・固有名詞は同社の決算説明資料等で確認していますが、正確な内容は同社の決算短信・決算説明資料をご参照ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。